<CM>名もなき熊たちの遍歴
2004年 04月 01日
西武のクマには、名前がない。
いや、正確に言うと、「クマさん」という名前らしい。赤系と青系との2匹でペアで登場することが多いが、その2匹とも「クマ」と呼ぶようである。プロフィールもほとんど不明。バザール・デ・ゴザールやホクトくん、ピンキー・フレッシュ・モンキーのような企業系キャラ全盛のこの時代、明らかに「西武のクマ」の情報は少ない。露出は結構多いのに。
まあ息の長いキャラなだけに、今更名前を募集するわけにもいかないのかもしれない。突然プロフィールを創作するのも難しそうだ。「身長はりんご20個分」とか言われてもねー(ちなみにあのクマの顔は妙にキティ似である)。
ホームページによれば、クマさんは、「点描の時代」「ギザギザの時代」「線の時代」などのいくつかの時代を経て、現在に至っているという。ピカソの「青の時代」みたいな、アートっぽい雰囲気すら漂う遍歴だ。
もしかすると、このクマは、もう、このままにしておくのがいいかもしれない。本名不明、年齢不明、プロフィール不明。ゴルゴ13みたいな孤独なキャラ人生を全うするのだ。
そごう倒産、6000億円の有利子負債、債権放棄など過去も未来も多難だらけの西武百貨店の苦しみを黙って受け入れ、歌い、踊りつづける悲劇のキャラクター。口がないのは「不言実行」を端的に象徴している。…そう思うと、あの表情に、妙な重みさえ感じられないか。インタビューにも「自分、不器用ッスから」としか答えない。重い。重すぎる。
尊敬の意味を込めて、あのクマを、今日から「健さん」と呼ぶことにしたいと思う。赤いほうは文太。
by AyatoSasaki
| 2004-04-01 17:35