<追伸>ムナカタくんリローデッド。

 もし今週鳥インフルエンザが東京で流行しても僕を疑わないでください。どうもささきです。


 日本に帰ってきてみると、以前このブログに書いたムナカタくんから、絵葉書が届いていた。ここに「猛省を促したい」と実名で説教したのが申し訳ないくらい丁寧な文面だった。
 修正しようかと心動いたけれど、面白いのでほっておきます。すまんムナカタ。

 というわけで、本人も知らないところで書かれるムナカタ話、第二弾。

 ムナカタ君はタイにつごう6年住んでいる僕の友人である。去年までバンコクの旅行代理店で働いていたが、「なんだかめんどくさくなった」という理由で退職、今は定職につかずにタイ人の彼女と二人でふらふらと暮らしている。一昔前に稼いだ貯金が結構あるらしく、あと一年くらいはまだ暮らせる計算らしい。

 ムナカタ君は、軟弱で色白で気弱そうで(実際気弱で)、なんというか、年に一度ビッグサイトに自作の漫画本を売りに行きそうな顔をしている。バンコクで白い物といえば民主記念塔だが、ムナカタ君の顔色もそれに匹敵するくらい真っ白である。

 そしてこの熱帯に不似合いな白肌を持つ男は、いつか小説を書くことを夢見ている。

   *****

「椎名誠みたいな、旅をして文章を書く仕事がいつかできればな、って思ってるんです。」
 彼は冷房効きすぎのバンコクの深夜のタクシーの中で僕にそう言った。
「ええっと、椎名誠っていうのは、あの、色の黒い精悍なおっさんのことだよね?」と僕は確認した。ムナカタ君と椎名誠なんて、全然イメージ合ってないのだ。もしも世界の南半球に椎名誠が、北半球に泉麻人が国を作って戦争を起こしたとしたら、彼は間違いなくアサト側の一兵卒、そんな顔立ちなのだ。
「えぇ。」僕の狼狽をものともせず彼は言った。「そう思って、これでも結構いろんな所を旅してるんですよ、僕。」
「ふうん。冒険とか好きなんだ……。」僕はなんとなく、泉麻人がジャングルの奥地で迷子になって途方にくれている姿を想像していた。ウナコーワとかを五分おきに塗りなおしてるアサト。
「アマゾン川を河口から上ろうって思ってブラジル行ったことありますよ。」
「へぇすごいじゃん。どうだったアマゾン川?」
 そしたら彼はさくっと言ったね。

「河口の町まで行ったら面倒くさくなっちゃって、そこに半年くらい住んだら疲れたんで帰ってきちゃいました。」

 そこらへんに彼とシーナとの宿命的な断崖絶壁がある。でも、そのことをまったく自覚していないのが、ムナカタノブヒロ最大のチャームポイントでもある。

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 でも、真面目な話、もし虚弱系旅小説というジャンルが成立し得るのなら、それはそれで面白く読めるんじゃないかという気もする。だめな人間がだめな旅をするのもまた、一つの誠実な物語なのだよな、たぶん。がんばれムナカタ。


 というわけで、ムナカタくんの話はまた明日も続けたいと思います。
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by AyatoSasaki | 2004-04-14 23:31