<昔話>吉井先生、フォーエバー。

 中学時代の担任は、着任間もない吉井という名の若い数学教師だった。

 ある時、確か中学二年の時だったと思うけど、悪友たちが数人、休み時間の教室で、金を賭けてポーカーをしていた。より正確に言えば、金を賭けているというよりも、小銭をチップ代わりにして遊んでいただけだ。本人たちは悪気もない。

 その時、歴史の先生が通りがかり、その友達を怒鳴りつけた。何やってる!……まあ本人たちの自覚がないとはいえ、よく考えたら立派な犯罪行為である。怒るのは教育的指導の範囲内だろう。教室は静まりかえり、空気が張りつめる。

 そこで鐘が鳴り、教室に吉井先生が入ってきた。歴史の先生もそれに気付いた。歴史の先生は他のクラスで教えなくちゃいけない。そこで彼は吉井先生に言った。

「ちょっと、こいつら、カネのことで……。」と歴史の先生は机にちらばる小銭の山を指差した。

 吉井先生はその先輩教師にうなずくと、「分かりました、ちゃんと注意しておきます。」と言った。
 歴史の先生はそれで納得したように教室を後にした。

 そして、吉井先生は机の上のトランプとコインを彼らに片付けさせながら、最後に堂々とこう言った。

 「おい、カネが鳴ったらちゃんとやめろよ。」

 先生、「カネ」の意味が、ちょっとだけ、違います……。




 この人の逸話には他にもすごい話がいっぱいあるのだが、また今度書こうと思います。
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by AyatoSasaki | 2004-03-31 21:56