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by AyatoSasaki

<昔話>ビジネス書が僕に教えてくれたこと

 対人関係に不得手な人間の常として、僕も、人の目を見て話すのが何より苦手だった。高校生の頃だ。

 僕はどっちかというとぎょろ目でしかも視力が弱いので、相手の目を見るだけでガンを飛ばしてるように見える。ひ弱な中尾彬などを想像してくださればほぼイメージ通りです。
 友達もすごく少なかった。そりゃそうだ。高校時代の中尾彬(ひ弱)と誰が友達になりたがるものか。
 これはいかん、と思い立ちビジネス書などを読んでみると、そういう時はネクタイの辺りを見ろ、と書いてあった。なるほどそれはうまいアイディアだ。
 しばらくすると、僕と話をする女性から、「何よ胸元ばっかりみてこの童貞高校生が!」風の目で見られていることに気付いた。誤解です。しかし中尾(ひ弱)のぎらついた視線を胸元に感じたら僕だって同じ意見を持つ。
 途方にくれつつ、件のビジネス書を再度手に取ると、なるほどそこはぬかりない、「女性の場合は口元を見ろ」と記されている。ふむ。そこで唇を見るようにしていると、唇というのは人それぞれ厚みや色や動き方が違って結構面白いことが分かった。そしてまた面白いように動く。軟体動物をつついて遊んでいる気分。なんてことを考えながら人の話を聞くので、いつの間にか「人の話を聞いてない」というレッテルを貼られてしまった。実際、たいていの人の話なんかより唇の動きの方が100倍は面白いものだ。
 ビジネス書には「唇が面白すぎる場合の対処法」までは書いていなかった。たぶん、その頃から僕はあまりビジネス向きでない人間だったのだろう。

 というわけで僕の対人恐怖傾向はますます悪化して今にいたる。最近はもっぱら人の顔から目をそらして話をするようにしている。
 ぎょろ目のつぶやきシローなどを想像してくださればほぼイメージ通りです。
by AyatoSasaki | 2004-03-31 02:50